体の異変と、上司の怒り

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「そこまで酷くなってたんだな……気付いてやれなくてごめん」 拓さんがかなり落ち込んでいる。気を遣って言わなかっただけなのに、逆に悪い方向にいってしまった。 「すみません、私が言わなかったので」 「いや、俺が一番異変に気づかなきゃいけなかった」 ひとまず話を変えようと、資料室に閉じ込められるまでの流れを話した。 拓さんはうんうん、と頷いたりしながら話を聞いてくれた。話し終えると、 「田沼さんはしらばっくれるかもしれないな。『もうとっくに帰ったと思ってました』とか言いそうだ」 「そうですよね……私、広告の仕事が好きでずっと続けたいなと思ってたんですけど、正直今の会社は辞めたいなと思いました」 「そりゃそうなるよな」 「……そういえば、拓さん、どうして私があそこにいるって気付いたんですか?」 「美月に何度か電話したんだよ。最近元気がなかったし、残業続きで疲れて寝落ちしてるかなとも思ったけど、なんとなく嫌な予感がして。  今回は出張もなかったからすぐに探しに行けたけど、行けなかったらと思うとゾッとするな」 沈痛な面持ちでこちらを見てから、私の頭をそっと撫でる。少し考え込むような仕草をしてから、拓さんは口を開いた。 「まず、今後のことだけど……美月は、もし部署異動できる状況なら、異動したい?」 「そうですね、とはいえ今の会社だと異動先がないですし……今やってるような純広告だけじゃなくて、もっとデジタルマーケを極めたいので、転職するのがベストかなと思ってます」 「そうか。ちなみに……アドプランが買収する話って、どこかで耳に挟んでたりする?」 「はい、実は……南さんから、役員が話しているのを聞いたと教えてもらいました」
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