体の異変と、上司の怒り

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目覚めるとベッドには私1人で、会社に行く直前なのかスーツ姿の拓さんが近くに立っていた。 「……拓さん、おはようございます」 「美月、おはよう。よく眠れたか?」 「はい、ありがとうございます。お陰様でぐっすり眠れました」 「まだ朝早いから、ゆっくり寝てて良いからな。朝ご飯、用意しておいたから後で食べて。あと、俺はもう会社行くけど、これ」 そう言って拓さんが出してきたのは、マンションの鍵だった。 「美月、付き合い始めて日も浅いけど、もう一緒に住まないか?」 「え?同棲?」 「あぁ、昨日みたいなことがあると、もう俺の心臓が持たないんだ。それに、仕事が忙しくても一緒にいる時間が増えるし。今日は自宅に荷物を取りに行ったりしたいだろうからその鍵を使ってもらって、同棲の件も、前向きに考えてほしい」 「……わかりました、一旦鍵はお借りしますね。今日の夜は、帰り遅くなりそうですか?」 「なるべく早く帰るようにするよ。もし美月の予定が大丈夫であれば、週末も一緒に過ごしたい」 「はい、私もです」 「ありがとう」 そう言うと、拓さんが軽くキスをしてから立ち上がった。 「じゃあ、行ってきます」 「はい、行ってらっしゃい。お気をつけて」 玄関先で拓さんを見届けて、リビングのソファに腰を降ろした。昨日話したことや、先ほど提案された同棲について思い返していた。 「同棲かぁ…」 拓さんと住むことについて、今のところ特に不安は無い。私の家はおんぼろアパートのワンルームだし、会社からも距離がある。 拓さんのマンションはオフィスからも近く、もしアドプラン社になったとしても近い。 広さの面を考えると、ここは1LDKだから、もう少し広い場所に引っ越しだろうか。 不安があるとすれば……拓さんの性欲? いや、まさかそんなに毎日毎日やらないよね? ひとまず今日は着替えを取りに帰って、皮膚科も受診しよう。ストレスが原因だとしても、この痒みはどうにか抑えたい。 そして夜はご飯を作って、拓さんの帰りを待とう。 今私ができることは、それだけだ。 ***
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