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急展開
一度自宅に戻り、シャワーを浴びたり着替えたりして、週末分の洋服をバッグに詰め込んだ。
そのまま皮膚科に行き、軟膏を処方してもらった。なかなか病院に行く時間も取れず、市販の保湿クリームを塗っていたから、これで一安心だ。
拓さんのマンションに荷物を置きに行ってから、近くのスーパーに食材を買いに行った。
「そういえば、拓さんの好きな食べ物って何だろう……」
甘くないお酒が好きなのは分かっているが、ご飯は一緒に食べていても好き嫌いは特に無さそうだ。
まだまだ知らないことがいっぱいあるな、と思った。もっと拓さんのことが知りたい。
仕事中で申し訳ないと思ったけれど、念のため「食べ物の好き嫌いはありますか?」とLIMEを送っておいた。
拓さんからはすぐに返信があり「なし。美月が作ったものなら何でも食べる」と書いてあった。
「ふふ、何でもって。本当に何でも食べちゃいそうだなぁ。特に嫌いなものが無ければ……今日はビーフシチューにでもしようかな」
ふと思いつき、どんどん食材をかごに入れていく。
夕方、マンションに着いて料理をしようと準備していると、突然スマホに着信があった。着信元は南さんだ。
「もしもし、南さん?お疲れ様です」
『向原さん、お疲れ様!今、少し電話できる?』
「はい、どうしましたか?」
南さんは仕事を抜けて、どこかの会議室で電話をしているのだろうか? 声を顰めて話しているようだ。私がいない間に、何か会社で起きたのだろうか。
『今日会社で色々あって、夜一緒にご飯食べながら話せたらなと思ったんだけど……有給取ってるってことは、難しいわよね?』
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