ドレスを脱いだら〜俺様課長に捕まって、もう逃げられない〜

急展開

『まだ進展するかも分からないし、出会いは多い方が良いかなって。あ、そろそろ仕事戻らないと。来週良かったら飲みに行きましょ』

「はい、ありがとうございます！行けそうな曜日、LIMEで連絡しますね」

南さんとの電話を終えて、一息つく。

今回の買収を受けて、アドプランに転籍する人、別の会社に転職する人、それぞれ色んな道に分かれるだろう。

転籍して一部の業務をそのまま引き継いだとしても、会社が違えば文化も違う。何もかも今までと同じようにとはいかない。

（それにしても、拓さんと田沼さんと役員の3人でミーティングって……何を話したんだろう？）

私は逆恨みも怖いし何もしなくて良いと言ったけど、拓さんは納得していなかったんだろうか……。

帰ったら聞いてみよう。あ、同棲の件も早く返事をしなきゃ。

グツグツとビーフシチューを煮込みながら、考えを巡らせた。

＊＊＊

＜急展開の裏側　〜side拓〜＞

ベッドで眠りについた美月を見て安堵すると共に、『どうしてもっと早く気付いてあげられなかったんだ……』と後悔の念に駆られていた。

昨夜、美月が電話に出ないことに、なんとなく嫌な予感がした。

美月はここ数日残業続きだったし、俺も残業に加えて夜は会食があったりして、プライベートでなかなか会えずにいた。とはいえ、夜道は危険だから、なるべく毎日LIMEか電話はするようにしていた。

電話に出ないのは、もう夜も遅いし寝てるのかもしれない。でも、ここ最近ずっと元気が無かったことも気になっていた。

電話をしていても上の空というか……本人は「大丈夫」と言っていたけれど。