急展開

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会食がたまたまオフィス近くだったのも、今となっては本当に運が良かった。 オフィスに行くと、電気も消えていて鍵も閉まっている。それだけで帰る気にはならず、オフィスに入って美月のデスク近くを歩いていた。 (いつもよく頑張ってるよな……) と、美月のオフィスチェアに手をかけた時だった。 「……は? いつも美月が使ってる鞄、なんでここにあるんだ?」 失礼を承知で鞄の中を見ると、パソコンやスマホ、財布といったものも入っている。 「美月、まだここにいるのか!?」 そう気付いてからは、いてもたってもいられなかった。 女子トイレや各会議室、給湯室と確認していく。しかし、美月はいない。どこだ? そこで、滅多に使わない資料室の存在を思い出した。 美月、美月…… 無事でいてくれ……。 資料室の扉をバンッ!!と開いた。 「美月!!!!」 どうやら彼女は寝ていたようで、何度か目を瞬きさせている。堪らずぎゅっと抱きしめてしまった。 「拓さん?」 「美月、遅くなって本当にごめん。大丈夫か?体調悪くないか?」 「はい、今って何時ですか?」 「ちょうど日付超えたくらい」 「そうなんですね、疲れて寝ちゃってて……拓さん?」 もし俺が来なかったら朝までこんな所にいたのかという冷や汗と、無事に美月を見つけられた安堵が混ざって、今までに感じたことのない感情が込み上げてきた。 「美月が怪我とかしていないか、気が気じゃなかった……」 「ふふ、大丈夫ですよ。来てくれてありがとうございます」 その後、俺のマンションに連れて帰り、美月を寝かしつけて今に至る。
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