パワハラの末路

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「そういえば、桜井さんはアドプランに転籍するの?」 「いえ、私も他の会社に転職する方向で考えてます。田沼さんはこれからどこの会社を受けられるんですか?」 「そうね……大手も中堅所も選考が進まないから、古い伝手を辿って小さな代理店も受けてみようと思ってるわ。  そうなると都心じゃなくて、地方になるかもしれないけど」 「……そうなんですね」 「あ、桜井さん、また私の後を追ってこなくて良いのよ? あなたは数値分析も得意だし、なんならアドプランでも活躍できる人材だと思うわ」 「ありがとうございます。でも、出来れば次も田沼さんと一緒に仕事がしたいです」 「桜井さん……」 どうして桜井さんがここまで私を慕ってくれているのかは、分からない。 でも、引き続き私と仕事がしたいと言ってくれるのはとても嬉しかった。やっぱり私のマネジメントは間違ってなかったんだと思う。 向原さんだって、桜井さんのように私を尊敬してくれていたら、もう少し接し方が変わっていたかもしれない。 そうだ、もし地方に転職することになったら、大好きな家庭菜園をもっと大きくやろうかしら。 どんな環境でも、きっと楽しくやれるはず。 仕事だって、次も絶対に実績を残せるわ。 そう期待に胸を膨らませながら早々にパスタを平らげて、地方で細々と広告代理店を経営する先輩にメッセージを送った。 ***
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