夜の帳が下りる頃

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夜の帳が下りる頃

南さんとのガス抜き会の後、木、金と仕事をこなし、いつも銀座に出勤する「華金」になった。 ほぼ定時に仕事を終わらせて、急いで移動の準備をする。こんな風に定時で切り上げることも、自分より先に私が退社することも、田沼さんとしては気に入らないようだ。 「あら向原さん、今日はデートか何か? 綺麗に髪整えてて」 「いえ、友人とご飯の予定があって。すみません、お先に失礼します」 「お疲れ様ー良い週末を〜」 今日はあまり絡まれることなく、オフィスを出発することができた。ヘアスタイルに突っ込みはあったけど。 本当はヘアセットも、銀座の事務所についてからやれば良いのだが、出勤する頃には女の子達でごった返しになっていて、自分の座るスペースを確保するのもやっとなのだ。 ましてや、手先がそこまで器用ではないので、髪を編み込むのにもかなり時間がかかる。 だったらある程度、朝早起きして自宅でセットした状態で出社してしまった方が安心だ。営業的に問題の無い範囲で、髪を編み込んでいく。 ちなみに、金曜だけ装いが華やかだと田沼さんにネチネチ言われそうなので、他の曜日も練習がてら、自分で綺麗にヘアセットしてから出社するようにしていた。 *** 銀座駅に到着して、いつも使っている階段に向かってずんずん進んでいく。 この時間は仕事の終わったサラリーマンが、銀座の街に繰り出そうと浮き足立っているようだ。 クラブが密集している方面に歩いていくと、着物を着たママさんが歩いていたりと、どんどん駅前とは雰囲気が変わっていく。 クラブ街の中にひっそりと佇む、ホステス派遣の事務所が見えてきた。
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