6588人が本棚に入れています
本棚に追加
新天地
とうとう、新天地・アドプランホールディングスでの初日を迎えた。
転籍と言っても、出社する場所も働く仲間も様変わりで、ほぼ転職と変わらなかった。
ピカピカのオフィスビルに、受付も無人ではなく有人で、ひっきりなしに外部からの打ち合わせ客の対応をしていた。
受付のあるフロアは沢山の人が行き交っていて、見ていて目が回りそうだ。
(拓さんがいるとはいえ、業務内容も難しくなるし不安は尽きないな……あれ?)
受付の女性陣の中に、見覚えのある顔があった。どこで会ったかな……と考えを巡らせていると、
「え、ミカさん……?」
ミカさんともばっちり目が合って、にこっと笑顔を返される。向こうも気付いたようだ。
「向原さん、どうしました?」
「すみません、知り合いとよく似ていたので。後で挨拶しておこうと思います」
広告事業部一課の秋田愛菜さんに、ビル内を案内してもらっている最中の出来事だった。
秋田さんは新卒でアドプランに入社しており、今年で8年目らしい。一課に配属されて半年くらいとのことで、秋田さんと同じチームに私も配属された。
凛としたバリキャリ女性という感じで、年齢は近いが憧れのようなものを感じてしまう。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい」
受付のあるフロアを見学した後は、会議室フロアや社食、やり取りの多い部署など順番に案内してもらった。
一課のあるフロアに戻り、改めて挨拶回りをした。同じチームには先ほどの秋田さんをリーダーに、一木純平さん、大塚玲奈さんというメンツだった。
本当に良い人ばかりで、とても働きやすそうだ。
転籍と同じタイミングで、拓さんも一課に戻って来ていた。色んな人に声をかけられていて、ここでも相変わらず忙しそうだ。
最初のコメントを投稿しよう!