それぞれの思惑

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「狙った獲物は逃さない、って感じ?」 「拓さん、ハンターなの?」 「ハハ、そうなると美月は可愛い小動物かな?」 「私動物じゃないし……って、あ!何ちゃっかり押し倒してるんですかっ!」 「んー? もうこれで美月の疑問は解消したかなって」 「だからって、今日私、出社初日だったんですよ? 早く寝たいです」 「もう少しだけ、俺に癒しをちょうだい?」 そう言ってズルズルと寝室に引き摺られていってしまった。 拓さんは突然、猛獣スイッチが入ってしまうのでちょっと困る。でも、それに慣れ始めている自分もいるんだけど……。 *** 夜が明け、新しい仕事を頭に叩き込む日々が始まる。 秋田さんを始め、一木君、大塚さんのサポートもあり、早く業務を理解することができた。早速お客様との面談にも同席させてもらっている。 あっという間に金曜日になり、ランチは果林ちゃんと、夜は歓迎会ということで4人でお肉を食べに行くことになっていた。 「果林ちゃん、お疲れ様!」 「美月さん、今日はありがとうございます!とっても楽しみにしてました!」 私は仲良くなりたい気持ちから、いつの間にか『果林ちゃん』と呼ぶようになっていた。 果林ちゃんと社食に集合して、2人でランチメニューを選ぶ。果林ちゃんはペペロンチーノ、私はロコモコ丼にした。 こうやって向かい合って話すのは初めてで、私もとても楽しみにしていた。 「果林ちゃんは、いつからここで働いてるの?」 「まだ3ヶ月くらいなんですよ〜美月さんは最近転職してきたんですか?」 「私は前に働いてたIT企業がアドプランに買収されて、転籍したの」 「そうなんですね!」 早速2人でランチを食べ始める。ロコモコ丼を出す社食って、なんだか珍しいなと思ってつい選んでしまった。 「美月さんはアドプランのどこの部署なんですか?」 「え? 私は広告事業部の一課だよ?」
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