6588人が本棚に入れています
本棚に追加
「狙った獲物は逃さない、って感じ?」
「拓さん、ハンターなの?」
「ハハ、そうなると美月は可愛い小動物かな?」
「私動物じゃないし……って、あ!何ちゃっかり押し倒してるんですかっ!」
「んー? もうこれで美月の疑問は解消したかなって」
「だからって、今日私、出社初日だったんですよ? 早く寝たいです」
「もう少しだけ、俺に癒しをちょうだい?」
そう言ってズルズルと寝室に引き摺られていってしまった。
拓さんは突然、猛獣スイッチが入ってしまうのでちょっと困る。でも、それに慣れ始めている自分もいるんだけど……。
***
夜が明け、新しい仕事を頭に叩き込む日々が始まる。
秋田さんを始め、一木君、大塚さんのサポートもあり、早く業務を理解することができた。早速お客様との面談にも同席させてもらっている。
あっという間に金曜日になり、ランチは果林ちゃんと、夜は歓迎会ということで4人でお肉を食べに行くことになっていた。
「果林ちゃん、お疲れ様!」
「美月さん、今日はありがとうございます!とっても楽しみにしてました!」
私は仲良くなりたい気持ちから、いつの間にか『果林ちゃん』と呼ぶようになっていた。
果林ちゃんと社食に集合して、2人でランチメニューを選ぶ。果林ちゃんはペペロンチーノ、私はロコモコ丼にした。
こうやって向かい合って話すのは初めてで、私もとても楽しみにしていた。
「果林ちゃんは、いつからここで働いてるの?」
「まだ3ヶ月くらいなんですよ〜美月さんは最近転職してきたんですか?」
「私は前に働いてたIT企業がアドプランに買収されて、転籍したの」
「そうなんですね!」
早速2人でランチを食べ始める。ロコモコ丼を出す社食って、なんだか珍しいなと思ってつい選んでしまった。
「美月さんはアドプランのどこの部署なんですか?」
「え? 私は広告事業部の一課だよ?」
最初のコメントを投稿しよう!