夜の帳が下りる頃

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「おはようございまーす!」 「ナナ、おはよう〜! 今日もよろしくね!!」 事務所の社長とスタッフさんに挨拶をしてから、女の子でごった返している部屋に向かう。 夜なのに、なぜか挨拶は「おはようございます」なのだ。それは誰に対しても同じだった。 「おはようございます!」 「「ナナ、おはよう〜」」 「今日も宜しくお願いします!」 世話役のお姉さんや先輩ホステスに、しっかり挨拶をする。そうしないと、なんとなくここでは生き残れない気がしていた。 それを抜きにしても、気持ちの良い挨拶は大事だと思っている。 その後は、急いで自分の着替えスペースを確保した。びっしりと壁一面に並んだレンタルドレスの中から、いつも自分が着ているものを探し始める。 私は身長が152cmくらいなので、ほとんど自分に合うドレスが無い。どれも丈が長くて、引き摺って歩くようになってしまう。 背が低い割に胸のサイズは大きくて、昔からこのアンバランスな体型にコンプレックスを抱いていた。 自分でドレスを買って持ってくれば良いのだが、「週1回の出勤だし…」とずるずる後回しにしていたら、結局買わずにきてしまった。 今日はいつものブルーのドレスがあって、ホッと胸を撫で下ろした。 「ナナ、ミカ、りん、もう移動できるー??」 「「「はーい!!」」」 スタッフさんから大きな声で呼ばれて、急いで別室に向かう。今日向かうクラブの場所について、道順の説明を受けた。 基本的に一人で行くことが多いが、今日は金曜ということもあり、たまたま3人とも同じクラブらしい。
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