それぞれの思惑

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「美月さん、またランチしましょうね〜!」 「うん、じゃあまたね」 そう言って、果林ちゃんとのランチタイムはお開きになった。私は少し暗い気持ちになりながら、一課のオフィスに戻っていった。 *** 「……という訳で、向原さん、アドプランホールディングスへようこそ!」 「「「かんぱーい!!!」」」 午後の業務を終わらせて、今夜は私の歓迎会だ。一木君がお肉希望だったので、シュラスコが売りのレストランに皆でやってきた。 「肉、肉〜!ビールも最高!!」 「一木君、子供じゃないんだから少し落ち着いて!」 「ハーイ」 秋田さんと一木君のやり取りを見て、クスクス笑ってしまう。なんだか姉弟のようだ。 大塚さんはグイグイビールを飲んでいて、その飲みっぷりに驚いてしまう。 「大塚さんはビール好きなんですか?」 「はい!お酒は全般大好きですね! うちの会社はそこまでクライアントの接待とかないんですけど。たまに飲む機会があってこの勢いで飲んでると、大体向原さんと同じように驚かれます」 「あはは、それは凄いなぁ」 金曜夜の飲み会ということで、レストランもかなり賑わっている。秋田さんが私に話しかけてきた。 「向原さん、仕事少し慣れてきた? と言っても、まだ5日目だけど」 「はい、全体像はなんとなく見えてきました! 皆さんのお陰です」 「向原さんって……」 「はい」 「本当可愛いわよね」 「へ??」 「あ、私もそれ思ってましたー! なんて言うんですかね、いやらしく無い程度に色っぽいというか、女性の私でも好きになっちゃいそうです!って、恋愛対象は男性なんですけど」 「それだけ可愛かったら、女性の上司とかで恨みを買ったことは一回くらいあるんじゃない? あ、私は絶対そういうことしないわよ?」
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