それぞれの思惑

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「で!松本さん何見てたと思う?? 向原さんとキリンのツーショット写真見てたのよ!」 「「え〜!!?」」 「どういうこと?!と思って声かけようとしたら、松本さんの顔がニヤけて緩んじゃっててさ。あのクールな松本さんが、だよ!? あれは完全に“恋”だなと思ったよね」 「えー! 向原さん、松本さんと付き合ってるんですか?」 3人とも目を輝かせて、私の回答を待っている。隠しようも無いので、包み隠さず話すことにした。 「はい、実は……付き合ってます」 「「「きゃーっ!!」」」 歓声というか、謎の盛り上がりを見せる3人。一木君まで「きゃーっ」と言ってて吹き出しそうになった。 それにしても、この反応は一体どういうことなんだろう? 「あ、ごめんね、私達3人『松本親衛隊』だから安心して! それに『ラブ』じゃなくて『リスペクト』の方で」 「親衛隊? どういうことですか??」 「私達3人とも、松本さんに助けられた恩が大きくて。私の場合は、結構大きな案件でやらかしちゃって、本当に仕事辞めようかなっていうくらい追い込まれた時があってね。  松本さんが一緒に頭を下げてくれたこともそうなんだけど、彼の手腕で挽回して。なんならクライアントの信頼を回復して、さらに大きな案件を取り付けてくれたことがあって」 「俺は前の部署で、先輩社員にパワハラ受けてたんスけど、松本さんがすぐに一課に異動させてくれました。感謝してもしきれないスね」 「私は見た目もこんな感じでギャルっぽいし、思ってることもハッキリ言っちゃうんで、周りから煙たがられることも多かったんですけど。  松本さんがみんなの前で『自分の意見をしっかり持っていることは良いことだ』って褒めてくれて、だいぶ社内の風向きが変わりました」 「そんなことがあったんですね……ふふ、拓さんらしいですね」
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