それぞれの思惑

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「「「松本さん!!!」」」 「え、拓さん?」 「美月を迎えに来た。って、美月、何で泣きそうな顔してるんだ? おい、誰だよ泣かせたのは。一木か?」 「いや、違いますよ!!俺泣かせてないっス。てか松本さん、大事な彼女のこととなるとそんなに怖くなるんスか?」 「そりゃそうだろ、美月は俺の大切な人なんだから」 また拓さんは、そういう言葉を恥ずかしげもなくサラッと言っていて……私は真っ赤になった顔を隠すように俯いてしまう。 「ヒューヒュー!」「課長、かっこいい!男の中の男!」「向原さん、可愛い〜!」 とみんな言いたい放題言ってて、酔っ払い過ぎなんじゃないだろうか……。 拓さんも照れ臭そうに「お前らうるさいぞ」と言ってるけれど、3人に信頼を置いてるのがよく分かる。 拓さんの登場によって、歓迎会は早々にお開きになった。 *** 「みんな、二軒目行く?」 「俺は行きます!」「私も!」 「じゃあ、俺たちはここで帰るから」 「「「はーい!お疲れ様でした!!」」」 拓さんと並んで歩きながら、駅に向かって歩いていく。遠くから大きな声で「いやぁ、向原さんと課長、お似合いっスねぇ」「あの2人なら推せるわ」とか聞こえてきて、恥ずかしかった……。 「美月、早々に迎えに行っちゃってごめんな。 せっかくだからこの間のバーでもう少し飲むか?  家に帰ってゆっくりするでも良いし、俺はどっちでも良いよ」 「うーん、そうですねぇ。今日はもう少し飲みたい気分です!」 「よし、じゃバーに行くか。マスターに一応連絡しておくよ」 (果林ちゃんのことも話しておきたいし、自宅に帰るとすぐに拓さん猛獣になるからな……今日は外でゆっくり話したい) 拓さん行きつけの『Bar三日月』に行くのは、今回が2回目だった。
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