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/  夏が始まった頃、初めての彼女ができた。  若葉奏はShow-Wayに夢中なザ・今時の大学生といった感じで、親睦カラオケの後からやたら構ってくるなぁとは思っていたが、先月ついに告白され、別に断る理由もなかったため俺はそれを受け入れた。 「光舞う穏やかな午後 そよ風のような優しい(しらべ)に乗せて 真実の愛を君に捧ぐよ My love is forever……」  マイクを持つ奏がうっとりとした表情になる。二人でカラオケに来るのはこれで二度目だが、彼女は基本的にShow-Wayの歌しか歌わない。  よく飽きないなと内心小馬鹿にしつつ、奏に合わせた選曲にするためタッチパネルの中の人気曲ランキングを眺める。 「はぁー、スッキリした!」  歌が終わってしまったが、俺はまだ次の曲を選んでいない。 「響くんってさ、」沈黙を避けるように奏が口を開いた。 「夏合宿のライブは誰と出るの?」  俺はタッチパネルに目線を落としたまま答える。 「夏合宿? 出るつもりないけど。てか、合宿自体行かない」 「そうなの? なら大祭は?」 「出ない」 「えー、じゃあ、何のためにうちのサークル入ったの?」 「……別に。音楽やりたいから入るやつばかりじゃないだろ」 「というと何? 友達作りとか?」  質問責めが鬱陶しい。無視していると「そういえば、音吹くんの話聞いた?」とまた質問を重ねてくる奏。  俺は眉をひそめる。それは俺にとってたぶんこの世で、一番どうでもいい話題だ。
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