prologue 嫌い

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「…()い?」  新堂は髪をかき上げる。裕貴を組み敷く、筋肉のついた長い腕。 「…っ、よくなんて、ないっ…!」 「…へえ」  薄い唇を舌先でちろりと舐めた。ピアスが月明かりで鈍色(にびいろ)に光る。それなら、とでも言うように新堂は、ダンスで鍛えられた無駄な肉のない白い脚を裕貴の胸につくほど倒した。体が、モノのように二つ折りにされる。圧力。新堂が奥に挿入(はい)り、塗り込まれたワセリンがぐぶ、と鳴る。 「締めつけてひくひく吸いついてる。裕貴」 「や、」  今やふたつの体の接合部が裕貴の眼前でぐちゅぐちゅと音を立てている有り様だ。 「よびすて、すんな…!」 「裕貴」  ほとんど縦に、貫かれる。快感に、引き裂かれまいとする。この男から与えられるものは、いつでも乱暴だ。理性と意識を、裕貴は必死で手繰り寄せる。 「もっときもちよく…してみろ…!」  裕貴は新堂の肩口を踏みつけるように脚を曲げてふりおろす。だがその足首は、指輪をたくさんつけた長い指にあっさりと取られてしまう。 「…よくもまあ、この状況で蹴りを入れようとする」  新堂は性器をずるりと引いた。裕貴は自分の内部がどくどくと脈うって、待っているのを否応なく自覚させられる。それから、なんのまえぶれもなく、いきなり()し入られた。 「あ…!」  がくがくと内奥が揺さぶられる。視界がハレーションして止まらない。 「…好き?」  新堂は裕貴のほっそりとしたあごをつかむ。裕貴はその無精ひげの生えた、いつも余裕しゃくしゃくでなにを考えているかわからない顔をにらみつけて、答えない。 「好きって言ったら()かせてやるよ」
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