LOVE - END

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「そりゃあ残念だけど、この案件の監督はシモジマさんなんだからごちゃごちゃ言ってもしかたないだろ!?」 「シモジマさんだって迷ってんだよ。さらっと引くんじゃなくて熱意見せろよ!」 路上でヒートアップする。 「他人に委ねるなんてらしくないな。その程度だったのかよ!?」 「なんだよその程度って」 「クリエイターのプライドないのかつってんだよ!」 「あ!?」 負け犬みたいな言い方をされてカチンときたわけである。 「チームを空中分解させるのが高木の目的なんだぞ!」 「え」 急に飛び出てきた高木の名前に、華は顔をしかめた。 「何、仕組まれてんの!?」 「じゃなかったらこんなタイミングよく起こらねーよ!」 華にとっては半信半疑だが、律は確信をしているようで淀みが一切ない。 「あの人のいつも通りのやり方だよ。情報収集して貯めておいてここぞって時に放つんだ。以前もこんな感じで裏でこそこそやって敵チームを潰したんだから」 「なんだそれ。あの女そこまで腐ってんの」 「そういう戦い方なんだよ。だって億単位で動く仕事なんだから必死にもなるよな!」 この案件は大型だ。コンペに勝った代理店は報酬も名誉も手にする。その裏で行われるのは紛れもない『殺し合い』……。 「だからここで乱されて仲間割れするのは奴の思う壺!」 チームワークにおける逆境は、結束を強める場合もあるがダメージを負うだけの場合も少なくはない。コンペを目前にして華が抜ければ混乱に陥るのは必至で、高木はそれを狙っている、と。 「SY側が難色示してるって言うけど、それがどのレイヤーでどの程度なのかも確認する必要がある。もしかしたらその担当者が勝手に言ってるだけかもしれないし」 「そんなことあるかな……」 「とにかく戻るぞ、シモジマさんのところに」 がっ、と手首を掴まれた。 「逃げるは負け。そうだろ?」 律はいつぞやのようにライバルの顔で華を挑発する。 本音は。 律の言う通り、降りたくない。投げ出したりしたくない。 半ば強制的にビルへと連れ戻され、華は覚悟を余儀なくされた。
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