LOVE - END

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「柿原広報部長。容認し難い話とはなんですか?」 「いえ、この場では相応しくないため……」 「なんですか? 翔伝さんに関わることなのでしょう?」 「ええ、まぁ……」 柿原の思惑通り、全員の前で華の行いが晒される流れになった。 「複数のタレントと親密になった挙句に、週刊誌を騒がせた女性スタッフがいるとのことで……」 柿原の視線がちらっと華の方に向く。 「タレントのスキャンダルが露見した場合、被害を被るのは我々広告出稿側となるため、失礼を承知で確認をさせていただきました」 プレゼンルームがにわかにざわついた。他の聞き手に衝撃を与えるためにわざと事前に共有しなかったのだと分かる。 「事実なのでしょうか?」 企画を見て少年のように喜んでいた郷田社長の目が、真っ直ぐ華を捉える。数多の苦難を乗り越えてきたであろう、厳しくも澄んだ瞳。 「週刊誌の記事はまったくの捏造です。が、過去に立場を弁えずタレントと親密な関係になったのは事実です」 嘘偽りなく答える。彼の瞼が、かすかに歪んだのを見た。 終わったな――と思った。 絶望的な気分になる。助っ人として呼ばれたはずなのに潰してしまった、数億規模の大きな案件を。申し訳なさに消えたくなった。 「個人的には、独身者同士の合意に基づく交際までスキャンダルと切り捨てる業界の契約慣例には、やや思うところはあります」 ――ん? 俯いていた華は顔を上げる。 「まさか不倫関係だったというなら言語道断、即刻追放されてしかるべきですがね。そうですよね――柿原広報部長?」 みるみるうちに柿原の顔面から色が失われていった。
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