LOVE - END

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2日後、採用の連絡がきた。 シモジマさんからの連絡だったのだが、信じられなくてしばらく呆然と立ち尽くしてしまうほどだった。 「驚いたのは、5社中3社がドローンイベントの企画を出したそうだ」 「えっ」 「報宣堂なんかはド派手なドローンショーを企画してたとか。その中でウチの案が一番SYテクノロジーらしいエンターテイメント性があると郷田社長はおっしゃった。歴史と進化を見せるというクリエイティブもよかったそうだ」 やはり企画は強みを持っていた。だからこそ自分の不祥事で潰さなくてよかったと心から思う。 「あの郷田社長、相当タヌキだよね。新堂さんの件も事前に把握していたくせに知らんぷりしてわざわざ話題に出して、重鎮たちが揃う中で対抗派閥の柿原を潰した」 「心臓に悪いです……」 匿名の告発は、きちんと受け取られていたようだ。クライアント側である柿原と代理店側である高木はあろうことか不倫関係だった。関係がバレなければ、柿原は広報部長の立場を利用してADT企画の案をごり推ししていたに違いない。 コンペはそういう結果に終わった。が、今回たまたま問題にされず結果的に勝てたからよかったまでで、華自身も反省するべきところが大いにある。 * コンペ勝利の打ち上げが行われた。今回は大きな案件の勝利であると同時に地獄のスタートでもあるので、それはもう盛大に豪華にやる。 時間的な問題もあって華は普段飲み会や打ち上げの類は最初に少し顔出す程度。だが今案件は自身の行いが余計な混乱を招いてしまったという負い目もあり、事情を知ってるスタッフたちに詫びながら慎ましくしていた。 「いやぁ、大変だったね新堂さん!」 「捏造スキャンダルで騒がせるなんて男みたいだね」 そこそこネタにされる。まぁ、変に慰められるよりかはネタにしてもらった方が気が楽だ。
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