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「は!? 何赤くなってんだよ!」
「いや、まさかそんなはっきり言われるとは想定外すぎで……!」
目も合わさずにジタバタ悶絶している。――やめろよもう。そんな反応されるとこちらまで照れてくるじゃないか。
「じゃあ、えっと……す、するね?」
「う、うん……」
息を止めて、目を閉じて、唇が近づいてきた。
やっと!……そう思った時、ぴりりりりりと引き裂く音が鳴り響いた。律の方だ。
「……」
――はあ?
誰だよ、人が一世一代の告白をしたという時に邪魔してくる最高に空気読めない奴は。しかも諦めの悪いシツコイ奴は?
「あ、そういや記念撮影とかあったかもしれん……」
「そんなのあとでフォトショで合成すればいいよ」
「ぶはっ」
画像加工アプリを使いこなすふたりの手にかかればいくらでも自然に合成できる。
「おい、どうするんだよ? 電話出るの?」
華も律も緊急の電話は鬼のようにかかってくる。仕事は大切だ。共に仕事には命懸けている。でもやっと通じ合った今夜くらい、いいだろう。何もかも放り投げたって。
「出るわけがない」
そう、だから――キスは途中で止めないで。
<了>
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