何度も連れ戻される家

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ねえ、ハムざえもん?」 そう首を傾げるが、 僕も「問題はそこじゃない!」と鳴いた。 僕は元々違うおうちにいたのだが、 気が付いたら何故かこの人に飼われることになっていた。 今の住まいに不満はない。 寧ろ、不満はないからこそ、 引っ越しなどしなくていい。 最初にいたおうちよりも、 ここの方が何故か居心地がいいのだ。 だけど、 「身体も大きくなったし、 ハムざえもんの家ももっと大きくしようか!」 と言い始めた。 何度「そんなことしなくていい!」と大きな声で伝えても 「そうかそうか!ハムざえもんもそれがいいよね! 新しいの買ってこないと!」と言われる始末。 「そんなことをするのならこの家から逃げ出すぞ」という 反逆的な態度だけでも伝えようと何度か逃げ出したが、 この通り毎回捕まってしまうのである。 結局、気が付いたら新しくて大きな家へと 引越しをされてしまった。 まだ慣れない匂いに、居心地の悪さを覚える。 「緊張してるのかな?ほら、新しいカラカラだよ! いっぱい遊んで、いっぱい食べて、 いっぱい大きくなったら、またお引越ししようね! あと5年…いや、50年は生きて貰わないと!」 彼女は笑顔でそう伝える。 僕は仕方ないなとあきれながらも、 「彼女の住むこの家は、 ずっと引っ越しをしませんように。」 そう祈りながら、 カラカラと走り回るのだった。
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