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とうとうここまで来たよママ。
私が幼い頃、母は自分の夢の為に私を捨てて出て行った。
自我が芽生え始め、ある程度成長した時に出て行った理由を聞いた私は最初ママを恨んでいた。
パパからママは私達を捨てて自分の夢を選んだ碌でもない女だって聞いたから。
子供の頃の私は夢というものがなんなのか全然分からなかった。
家族よりも大切なものなんてあるの? そう思った。
ただ、私達を捨てて行ったことが許せなかった。
小学五年生になる頃、パパと違う町へと引っ越しすることになった。
じぃじとばぁばが居る場所で一緒に暮らすらしい。
荷物を整理していると、私はアルバムを見つけた。
ママだ!?
でも、ママじゃない。
いつもの……ママじゃない。
アルバムは写真が収められてるものじゃなく、一枚のCDアルバムだ。
そこには綺麗なドレスを着て、銀一色の金属の棒を口に当てているママが映っていた。
私はパパにバレないように咄嗟にそれを自分の鞄へしまった。
引っ越し先は、以前住んで居た町よりも栄えていて、
色んなお店でいっぱいだった。
私はパパに許可を貰い、出掛けることにした。
目的は楽器屋さんだ。
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