四章

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ユイナがいなくなり、他の国に薬がないか調べたり、新しい医師を探してオースティンを治療をすれば助かったかもしれない。 病への対策は年々進んでおり、様々な薬も出来上がっているはずだ。 サルバリー王国はアシュリーやユイナの力に完全に頼りすぎて、今までオースティンを助けるために力を入れていた医療に金を掛けることを止めてしまった。 (人の力に頼りすぎて、何もかもを疎かにした結果だわ) 自分たちだけ助かればいい、金を掛けなくて済む。 そんな思いからだろう。 そのために一カ月も引き延ばしたのに、アシュリーの力を使うことしか考えておらず、魔獣への対策もしていない。 逃げ続けながらサルバリー王国は終わりを迎えつつある。 なのにサルバリー国王たちはアシュリーの力に頼ることしか考えていなかった。 そのため、こうなるのは目に見えていた。 (お父様やお母様と同じ……わたくしたちを使って、楽することばかり考えているからこうなるのよ) 一度啜った甘い蜜を忘れられずに縋りつくしか頭になくなってしまう。 やれることはたくさんあっただろうに。 「逃げてばかりいないで、そろそろ現実を見た方がいいですよ?」
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