一章

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「お前のせいで我々がどんな目にあったのか……!」 「どうしてわたしたちが責められないといけないの!?アンタのせいよ」 「…………え?」 状況がわからないアシュリーが両親から話を聞くと、国は魔獣によって荒らされて悲惨な状態らしい。 アシュリーが体調を崩して意識を失っている間、エルネット公爵邸の外には魔獣に襲われたと治療を求める民やアシュリーのせいだと責め立てる声で溢れ返り、王家からは公爵たちのせいだと責めらてひどい有様だと聞いた。 その後も二人は気が済むまでアシュリーに毒を吐きかけていた。 アシュリーは自分のせいだと責められて愕然としていた。 しかしそれよりも体調を崩す中、無理矢理城に連れて行かれそうになったことや、こうなったのはお前のせいだすぐに治療をする準備をしろ、城に行けと吐きかけられる言葉にシーツを握りしめて絶望感に苛まれていた。 (お父様とお母様は、わたくしがどうなってもいいというの……?) アシュリーは悲しみで痛む心を押さえながらなんとか立ち上がる。 クララに止められたが、ふらつきつつも身なりを整えるために鏡台へ向かった時だった。 アシュリーの扉をノックする音。 また両親だろうかと返事ができないアシュリーだったが、クララが扉を開くと目の前にいる人物に驚いていた。 兄のロイスが隣国から急遽、帰って来てくれたのだと思った。 ロイスはディープブルーの瞳を歪めてアシュリーを抱きしめた。
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