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魔法は使えないロイスだったが、ペイスリーブ王国では魔法の力だけに頼ってはいけない。
己の力に慢心しないようにと各国と交流を持っている。
その幅広い視野のおかげで魔法以外にも様々な技術を使い、国を発展させていた。
全寮制で規則も厳しい学園のため、滅多にエルネット公爵邸に帰って来られないロイスからは二週に一度は手紙が届いていた。
けれどアシュリーはロイスに心配を掛けないように平然を装って手紙の返事を返していた。
今年、十八歳になるロイスは学園を卒業する。
そしたらこの息苦しい生活からも少しは抜け出せるのではないかと思っていた。
「アシュリー……やはりもっとよく確認するべきだった。すまないっ」
「ロイスお兄様のせいではありません」
「体調は!?もう大丈夫なのか!?」
アシュリーの心配をするロイスの背後には背が高く体格のいい男性が立っていた。
フードを取るとそこから見えたのは白髪はオールバックにしてまとめている。
青い瞳は優しげにこちらを見つめている。
アシュリーはその男性を見て首を傾げた。
(どこかでお会いしたことがあるような……)
そんな思いもあり、ロイスに問いかける。
「ロイスお兄様そちらの方は……?」
「ああ、護衛として一緒にきてくれたんだ。友人のバート……だ」
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