一章

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そう思っても体は言うことを聞かない。 何度も咳き込みながらも、これ以上は無理だと判断してアシュリーは外に出た。 結界をうまく張れずに出てきたことから国王と王妃はカンカンに怒っていた。 「──いい加減にしろ!己の責務を果たせ」 「あなたは何のためにここにいると思っているのよ!」 「ゴホッ、申し訳……ございませっ」 しかしアシュリーはその言葉も聞こえないほど咳き込んでいた。 馬車で待っているはずのクララの姿がぼやけて見えた。 そこからアシュリーの記憶はなくなっていた。 その二日後、意識が戻ったアシュリーは衝撃的な事実をクララから聞くことになる。 自分と同じ力を持った少女、つまり聖女から異界から現れたのだと知らせを受けたアシュリーは驚いていた。 サルバリー国王は聖女がアシュリーだけでは不安だと思っていたことを知っていた。 異界の聖女がサルバリー王国に舞い降りたことは国中に広がった。 アシュリーが体調を崩して魔獣に苦しめられているタイミングでの新しい聖女ということもあり、異界の聖女の登場は吉報だっあのだろう。 皆、異界の聖女に夢中だった。 オースティンも異界の聖女であるユイナを歓迎して、いつも行動を共にしていると噂で耳にした。 アシュリーは緊張からドキドキする胸を押さえていた。 自分の代わりが現れた。頭に嫌な事ばかりが思い浮かぶ。 アシュリーの不安は日に日に大きくなっていく。
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