一章

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父と母は毎日不機嫌そうに顔を歪めて、更に喧嘩が絶えなくなっていく。 クララが安心させるように声を掛けてくれたが、これからどうなるのか手に取るようにわかるのだ。 王家から暫くは結界を張る役目はユイナが代わりにするからアシュリーは王城に来なくていいということになった。 その間、ロイスは一カ月の休学届けを出してくれた。 ロイスがエルネット公爵邸にいてくれることでアシュリーはやっと満足に体を休めることができたのだった。 アシュリーの体調が戻るまで二週間かかっていた。 そんな時、タイミングよく王家から呼び出しを受ける。 嫌な予感を感じつつも、アシュリーは王城に向かう支度をしていた。 ロイスとクララが「一緒に行く」と言ったが、アシュリーは首を横に振る。 恐らく今までのことを責められて責任を取れと言われるのだと思ったアシュリーはこれ以上、クララとロイスに迷惑をかけたくない一心でそう言った。 「アシュリー、今日はバートも来るんだ」 「バート様が?」 「ああ、アシュリーに話があると言っていた」 アシュリーはバートの姿を思い出していた。 ペイスリーブ王国に帰る前、バートと話をしたが彼の印象はとてもよかった。 アシュリーを支えてくれた逞しい腕は温かかった。 馬車に乗りながらアシュリーは優しさをくれるバートのことを考えていた。 (また、バート様とお話ししてみたい)
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