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サルバリー王国はアシュリーの結界に頼りきりだ。
それがアシュリーの大きな大きな負担になっていたことも事実だ。
他の聖女が現れたことは、とても嬉しいはずなのに素直に喜べない。
(もうすぐ城に着いてしまう……)
変わる景色にアシュリーはドキドキする心臓を押さえていた。
大丈夫と言い聞かせていたけれど、アシュリーの想像よりもずっと辛い現実が待ち受けていた。
サルバリー国王と王妃の元へ向かうため、長い長い廊下を歩きながら二人が待つ部屋へと向かう。
扉を開くと妙な緊張感と異様な空気感がアシュリーにも伝わってくる。
足を進めていくが手のひらには、じっとりと汗が滲んでいた。
サルバリー国王と王妃は、まるで汚い塵を見るような目でアシュリーを見ていた。
「……ご機嫌、麗しゅう存じます」
「挨拶はよい、今日は大切な話がある」
「はい……なんでしょうか」
「アシュリー、もうあなたの力は必要ないわ」
「え……?」
その言葉に驚き目を見開いた。
国王と王妃の視線はアシュリーに冷たく突き刺さる。
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