一章

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サルバリー王国はアシュリーの結界に頼りきりだ。 それがアシュリーの大きな大きな負担になっていたことも事実だ。 他の聖女が現れたことは、とても嬉しいはずなのに素直に喜べない。 (もうすぐ城に着いてしまう……) 変わる景色にアシュリーはドキドキする心臓を押さえていた。 大丈夫と言い聞かせていたけれど、アシュリーの想像よりもずっと辛い現実が待ち受けていた。 サルバリー国王と王妃の元へ向かうため、長い長い廊下を歩きながら二人が待つ部屋へと向かう。 扉を開くと妙な緊張感と異様な空気感がアシュリーにも伝わってくる。 足を進めていくが手のひらには、じっとりと汗が滲んでいた。 サルバリー国王と王妃は、まるで汚い塵を見るような目でアシュリーを見ていた。 「……ご機嫌、麗しゅう存じます」 「挨拶はよい、今日は大切な話がある」 「はい……なんでしょうか」 「アシュリー、もうあなたの力は必要ないわ」 「え……?」 その言葉に驚き目を見開いた。 国王と王妃の視線はアシュリーに冷たく突き刺さる。
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