一章

2/48
前へ
/240ページ
次へ
アシュリーはオースティンに駆け寄り、公爵が仕事をしている間、彼の話し相手になった。 そこで病の話を聞いたアシュリーは、あまりに可哀想なオースティンの現状に涙を流す。 そしてアシュリーがオースティンの手を握ると、淡い光が辺りを包み込み……なんとオースティンの症状が軽くなったように感じたのだ。 オースティンは驚いて、すぐにその足でアシュリーの手を握りながら国王と王妃の元に知らせに向かった。 アシュリーが六歳の時、聖女としての力がわかった最初のキッカケになる。 アシュリーは何度か病や怪我を患うものたちに同じようなことを行った。 アシュリーは一時的に病や痛みを抑えることができて、国を魔獣から守る結界を張れる聖女ではないかとの結論に至った。 サルバリー国王と王妃は大いに喜んだ。 魔獣の影響で騎士たちは疲弊して、辺境の村では被害が絶えなかったからだ。 アシュリーの聖女としての力は、まさに天からの贈り物だった。 王家はすぐに手続きを行い、アシュリーはオースティンの婚約者になった。 それからずっとオースティンのために力を使っていた。 数年後、オースティンは普通の生活が出来るまで病状が回復することになる。 サルバリー国王や王妃は喜んでアシュリーに深く感謝した。 アシュリーも自分の力が役に立つのならと喜んだ。 けれどその裏で、アシュリーの力を多用されることを恐れたエルネット公爵は次第にアシュリーが外に出ることを禁じていた。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

326人が本棚に入れています
本棚に追加