一章

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「異世界から〝本物の聖女〟のユイナを召喚した。サルバリー王国を窮地に陥れた無能な聖女にはもう用はない」 「……ッ!」 アシュリーが体調を崩して力が使えなかったことで結界を張ることができなかったのは事実だ。 しかし今まで十年間、休まず城に通い結界を張り続けた功績が無になってしまう。 体調を崩して休んでいることでそのように言われたことにショックを受けていた。 「自らの職務を放棄して邸に篭り、我がサルバリー王国に多大な損害を与えた。国民たちを治療することすらやめたそうではないか」 「王家に苦情が寄せられて大変だったのよ。すべてあなたのせいだわ。この責任をどう取るつもりっ!?」 「そんな……」 今回の一件をすべてアシュリーのせいにして国民の怒りを向けるつもりなのだろうとすぐにわかった。 そうすれば王家が責任を問われることなく、すべてが丸く収まるのだろう。 アシュリーが体調が優れずに休んでいたことを誰も労わることはない。 厳しい視線だけが向けられていた。 アシュリーはあまりの仕打ちに目に涙を溜めていた。 「それにユイナはアシュリー以上の力を持っている。今のお前よりもずっと役立つものだ」
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