四章

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「ギルバート殿下、落ち着いてくださいませ。わたくしは大丈夫ですから」 その言葉に正気を取り戻したのかギルバートは詰まっていた息を吐き出した。 「今、ギルバート殿下がこの場でこの方たちを殺したら、わたくしが復讐できないでしょう?」 「……アシュリー、君は」 「あら、わたくしったら。うっかり口が滑りましたわ!」 「ははっ……やはりアシュリーには敵わないよ」 二人の間には普段と変わらない和やかな空気が流れていた。 それでもギルバートは気が収まらないのか、手のひらで目元を覆ってから小さく首を振る。 「気分が悪い。アシュリー、行こう」 「ま、待ってくれ……!」 「アシュリーを悪く言うあなたたちとこれ以上は話すことない。今すぐに帰ってくれ」 「誤解なのよ!これは違うの……!」 アシュリーはドレスの裾を持って軽く会釈する。 「……さようなら」 それには国王も王妃も、目を見開いて首を微かに横に振ることしかできない。 「こんな侮辱……許されない、許されないぞッ!」 伸ばされた手を取ると往生際悪く声を上げたサルバリー国王にギルバートは不敵な笑みを浮かべながら答えた。
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