一章

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オースティンとアシュリーが十歳くらいまでは毎朝、アシュリーをエスコートして、共に過ごす時間を大切にしてくれたが、今はもう一緒に笑い合った日々は、いつの間にか懐かしい思い出になってしまった。 オースティンの態度はある事件を境に随分と様変わりしてしまったからだ。 病の治療が終わり、結界を張り終えると「早く帰れ」と、言いたげに黙ってむくれるようになった。 「少しお話しませんか?」そう言っても、オースティンは無視して部屋を出て行ってしまう。 アシュリーはポツンと部屋に取り残されてしまう。 こうなった原因はわかっていた。 (わたくしのせいでオースティン殿下は……) 両親は絶対にダメだと言っていたが、どうしても外で遊びたかったアシュリーは、父と母の目を盗んでオースティンや令息たちと共に庭を駆け回ったり、かくれんぼをして遊んでいた。 アシュリーは初めての経験に気分は昂っていた。 しかし、その日はとても日差しが強い日だった。 部屋にばかりいるためか、体力がなく熱い日差しに耐えられずにアシュリーは倒れてしまったのだ。 高熱に魘されている間、オースティンや他の令息たちは、アシュリーのことでひどく叱られたのだそうだ。
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