二章

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アシュリーはいなくなり、すべてユイナに頼らなければならない。 聖女としての激務を急にこの世界にきたばかりの少女がこなせるものだろうか。 病や怪我は絶対になくならない。 永遠に繰り返す治療行為に終わりはない。 (……ユイナ様はどこまで耐えられるのかしら) それを思い出すだけで笑いが止まらなくなる。 そしてアシュリーに再び縋ろうにも、もう手が届かない場所にいる。 異世界から来たユイナをアシュリーと同じように偽物と罵るのだろうか。 それともあれだけ「もう用はない」と言っておきながら、再び頼ろうとするのか。 (プライドが高い王家のことだからありえないわね……) それからオースティンは最近体調を崩しているようだった。 咳が止まらなくなり苦しそうにしている。 アシュリーは、小さな頃オースティンが患っていた病が再発したのではないかと思っていた。 オースティンは「バカなことを言うな!」と否定していたが、アシュリーは胸騒ぎがしていた。 しかしもう数年も病の症状は出ていないと言い聞かせていたが心配していたことを思い出す。 (……とっても楽しみだわ)
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