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そして珍しくアシュリーの顔色を窺っているように見えた。
「ア、アシュリー……お前にギルバート殿下から結婚の申し込みがきているのだが」
カルロスの言葉に答えるようにアシュリーはにっこりと微笑んだ。
そちらから話題に出してくれるのなら話が早いではないか。
「是非、お受けしたいですわ」
「けれどお前はまだ体調がよくなったばかりだ!早過ぎはしないか?」
「そうよ、アシュリー!あなたはオースティン殿下との婚約を解消されたばかりでしょう!?」
「はい。けれどオースティン殿下もユイナ様とすぐに婚約なさいました……わたくしと婚約破棄した直後に」
「……っ、それは」
「だが……」
オースティンは婚約破棄してすぐにユイナとの婚約を発表したそうだ。
当たり前だが、アシュリーが眠り続けていたとしてもお見舞いや労りの手紙も一切ない。
それも当然だろう。
彼らにとってアシュリーは偽物なのだから。
今はユイナのおかげで結界は保たれている。
アシュリーが国を出るなら今しかない。
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