二章

21/56
前へ
/240ページ
次へ
そして珍しくアシュリーの顔色を窺っているように見えた。 「ア、アシュリー……お前にギルバート殿下から結婚の申し込みがきているのだが」 カルロスの言葉に答えるようにアシュリーはにっこりと微笑んだ。 そちらから話題に出してくれるのなら話が早いではないか。 「是非、お受けしたいですわ」 「けれどお前はまだ体調がよくなったばかりだ!早過ぎはしないか?」 「そうよ、アシュリー!あなたはオースティン殿下との婚約を解消されたばかりでしょう!?」 「はい。けれどオースティン殿下もユイナ様とすぐに婚約なさいました……わたくしと婚約破棄した直後に」 「……っ、それは」 「だが……」 オースティンは婚約破棄してすぐにユイナとの婚約を発表したそうだ。 当たり前だが、アシュリーが眠り続けていたとしてもお見舞いや労りの手紙も一切ない。 それも当然だろう。 彼らにとってアシュリーは偽物なのだから。 今はユイナのおかげで結界は保たれている。 アシュリーが国を出るなら今しかない。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

327人が本棚に入れています
本棚に追加