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「だが、ギルバート殿下との接点など今までなかったろう?よく知らない相手に嫁ぐなど……」
「もうこの国にわたくしの居場所はありませんわ。偽物の聖女と呼ばれるのはもうたくさん。わたくしは新しい場所に行きたいのです」
アシュリーとギルバートの関係など両親が知るはずもない。
しかしアシュリーの力を手放したくはないのだろう。
他国の王族に嫁ぐ名誉よりも目先の金。
アシュリーがいなくなれば、簡単に稼げなくなってしまう。
結婚したら当たり前だがこの屋敷から出て行くこととなる。
そうしたらアシュリーは自分たちの手の届かない場所へと行ってしまう。
つまり、もう楽にお金が手に入ることはないのだ。
ギルバートから突然の結婚の申し出に困惑する両親の態度は予想通りだ。
しかしこのことが知れ渡ればアシュリーの力を求めて他の国も動き出すのではないかとギルバートは言っていた。
「わたくしはエルネット公爵邸から今すぐ出ていきたいのです。だから結婚の申し出をお受けいたします」
「……!」
「ど、どうして?アシュリー」
「お父様とお母様も言っていたではありませんか……わたくしは役立たずで無能の娘ですから」
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