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今まではどんなことがあったとしても、アシュリーはずっと黙って気づかないフリをしていた。
けれどそんな愚かな日々はもう繰り返すことはないだろう。
「そ、それは……あの時は感情的になってしまっていたんだよ!本当はそんなことを思っているわけないだろう?」
「本当はあなたを世界で一番愛しているわ!大切な娘ですもの」
「気が動転して……どうかしていたんだ!アシュリー、お前ならわかってくれるはずだ!」
焦りながら言い訳を繰り返す二人をじっと見ていた。
そしてその後にアシュリーはいつものように口角を上げた。
それを見た父と母は許してもらえたと解釈したのだろう。
ギルバートの元へはいかないと解釈したようで、彼らはホッと胸を撫で下ろしているようだ。
二人は様子がいつもと違うことに気づきもしない。
(ロイスお兄様とクララとは全然違うわ……)
手紙と共にギルバートから贈られてきた花をクララから受け取った。
俯くように咲く赤や紫のオダマキの花を見てクスリと笑った。
それから、そっと花弁を撫でた。
ギルバートの気遣いのおかげでアシュリーは迷わず前に進めるような気がした。
「わたくしは……」
「なんだい?アシュリー!何でも言いなさい」
「あなたは本当に自慢の娘よっ!私たちはアシュリーを愛してるわ」
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