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二人に怒られているのに、おかしくて堪らなかった。
押し込んでいた感情が次々に溢れていく。
こんな二人をアシュリーは必死に愛そうとしていたのだ。
あんなに家族の仲が壊れてしまうことに怯えていたけれど気づいていなかっただけで、もうとっくに壊れていた。
必死に偽りの幸せに縋りついて、無理矢理繋ぎ止めていたに過ぎない。
アシュリーは騙されて、踊らされて、裏切られていた。
絶対的な信頼を寄せていたからこそ、それに気ついた時の憎しみは倍増するのだろう。
「ウフフ……だって嫌いなんですもの」
「……!」
アシュリーは喉を鳴らして笑った。
「ねぇ……お父様、お母様」
「……」
「わたくしの幸せってなぁに?」
その問いかけに、シン……と静まり返る室内。
両親は何も答えてはもらえない。答えられるわけがないのだ。
それも当然だろう。
アシュリーの幸せなど最初からここには用意されていないのだから。
皆の幸せのため動いていたつもりだったのにアシュリーに返ってきたのは何だったのか、この身に刻みついているではないか。
(両親もいらない、王家もいらない、こんな国もいらない……全部壊れちゃえばいいのに)
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