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あの時の様に自分の両手を見ながら問いかけた。
いつもの笑顔は消えて、スッと冷めた瞳を向けた。
二人は驚きのあまり声が出ないように見えた。
あんなに大きかった両親の姿が今はこんなに小さく見える。
「恩知らずは、どちらかしら?」
そう言って、アシュリーは笑いながらコテンと首を傾げた。
「なっ……!」
「……ッ!」
「ギルバート殿下が結婚を申し込んでくださって嬉しいわ。だって、腐りきったあなたたちから離れられるんですもの」
「───このッ!」
響き渡る怒号と再び父に掴まれる胸元。
今にも殴りかかりそうな父を見てもアシュリーは怯えることもなく淡々と答えた。
「お父様はまたわたくしを叩くのですか?」
「……くっ」
「お父様とお母様は、わたくしが言うことを聞かなければ、わたくしをこうして傷付けるのね……ひどいわ」
その言葉に二人はピタリと動きを止めた。
どれだけ質問しても、思っていたよりもずっと下らない答えが返ってくる。
(つまらない…………でも言いたいことを言うと、こんなにスッキリとした気持ちになるなんて知らなかったわ)
今までは溜め込んで溜め込んで溜め込んで……我慢して下を向いて涙を呑んだ。
そして傷ついたことを忘れるまで待つだけだった。
そんな日々はもうたくさんだ。
その場に似つかわしくない明るい表情を浮かべてから唇を開いた。
「わたくしからは以上ですわ。今までお世話になりました……さようなら」
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