二章

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(でももっともっと苦しまなくちゃダメよね?ここで壊すのは簡単だけど、今すぐに潰したらつまらないもの……不幸のどん底に突き落とさないとダメ。今から絶望を味わうがいいわ) 落ちぶれたエルネット公爵家を立て直すだけの気力は二人に残るだろうか。 そのことを考えるだけで胸はスッとするのだ。 ロイスもエルネット公爵家には見切りをつけていた。 ロイスは祖母の生家に籍を置いてギルバートの側近としてやっていくそうだ。 すべてはギルバートがうまくやってくれる。 それと同時に祖母も公爵家に戻り、アシュリーのサポートをすることになった。 実は剣に炎を纏わせることができるようになったのだとロイスは嬉しそうに教えてくれた。 学園で魔法の力に目覚めたが、両親には内緒にしているそうだ。 クララと共に少しの荷物を持って、迎えの馬車に乗り込んだ。 ペイスリーブ王国の王族の家紋が彫られた立派な馬車から顔を出したのはギルバートだった。 「ごきげんよう、ギルバート殿下」 「機嫌がよさそうだね、アシュリー」 「えぇ、とってもいい気分よ」 「ペイスリーブ王国に行くまで時間はたっぷりある。話を聞かせておくれ」 「もちろんですわ」
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