二章

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エスコートするために伸ばされたギルバートの手を掴む。 「父上も母上もアシュリーと会うのを楽しみにしているよ」 「まぁ……嬉しいですわ」 「ロイスもアシュリーとクララの心配していたよ」 「ありがとうございます。ギルバート殿下」 「……?」 「わたくしを救ってくれて」 ギルバートはその言葉を聞いて笑みを深めた。 エルネット公爵邸を出てギルバートとロイスが暮らしているペイスリーブ王国へと向かう。 両親には、まだまだ言いたいことがたくさんあったが、アシュリーがいなくなるだけで、じわじわと苦しませることができるはずだ。 その姿を見られないのは残念だが、勝手に落ちぶれてくれたらそれでいい。 高ぶる気持ちを抑えながら馬車に揺られていた。 * * * アシュリーがペイスリーブ王国に向かってから数ヶ月の月日が経とうとしていた。 最初、両親はペイスリーブ国王宛に『アシュリーを返せ』と、抗議する手紙を送ってきた。 父と母はサルバリー王国の王家に助けを求めることすらできない。 今までやってきたことが仇となり、王家がエルネット公爵家を助けることは絶対にない。 自分たちが保護しているユイナがいるためアシュリーがどうなろうとどうでもいいのだろう。
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