二章

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うるさく騒ぐエルネット公爵家を黙らせるためにペイスリーブ国王が動いてくれた。 アシュリーとロイスの権利をペイスリーブ王国に引き渡すようにペイスリーブ国王はエルネット公爵家に大金を支払うことを提案した。 するとエルネット公爵はあっさりとアシュリーとロイスから手を引いたのだ。 目の前にぶら下がった欲に目が眩んだらしい。 その代わりロイスとアシュリーに関するすべての権利を正式に失った。 両親が今の生活を維持するためには、それだけ莫大な金が必要だったのだろう。 貴族たちからも責められ、王家にも助けを求められず、焦ったのかもしれない。 乾いた砂漠に突如現れたオアシスに飛びついて、ロイスとアシュリーを手放した。 その喜びがすぐに消えてしまうとも知らずに……。 ギルバートの提案で再びアシュリーを引き合いに出して金の無心ができないように契約書を書かせたそうだ。 そしてアシュリーはギルバートが学園を卒業するのと同時に彼と結婚した。 アシュリーはギルバートの妻……ペイスリーブ王国で王太子妃となった。 ペイスリーブ王国は魔法を使える貴族たちで溢れていた。 しかしアシュリーの魔法はとても珍しいことにも変わりない。 懸念していたのはまたサルバリー王国のようにアシュリーの力に頼りきりになることだった。 しかし小国のサルバリー王国とは違い、大国であるが故にペイスリーブ王国はアシュリーの力に頼ることはない。
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