二章

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「そんなに心配しなくてもいいよ。アシュリーが不安になる事は絶対に起こらない。そのために僕がいるんだよ」 「……えぇ」 「それに今日はとても空気が悪くて疲れてしまったんだ。彼は想像以上に腐っていたみたいだ……がっかりしたよ」 ギルバートは抑揚のない声で淡々と話していた。 周辺の国々が集まって重要な会議があったらしい。 ペイスリーブ王国の王太子で次期国王であるギルバートはもちろんのこと、同じ立場であるオースティンも参加していた。 「アシュリーの想像通り、彼の病は進行しているようだよ」 「そう。やっぱりそうだったのね」 「それから魔獣の対応に追われているのかサルバリー国王とオースティンは憔悴していたよ」 どうやらアシュリーの勘は当たっていたらしい。 アシュリーはギルバートと結婚して以来、ペイスリーブ王国国内で開かれるパーティーには参加しているが、国同士が関わる大きな式典にはまだ姿を現していない。 結婚式も待ってもらっている。 アシュリーがオースティンたちの前に姿を現すのはまだ先がいい。 「それに今日はユイナを見かけたよ。王子たちに囲まれて幸せそうに笑っていた」 「……ふふ、それは素敵ね」 王子たち……その言葉を聞いて笑みを深めた。
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