二章

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最後にオースティンとユイナに会ったのは、王宮にもう来なくてもいいと告げられたあの日。 オースティンと愛おしそうに抱き合うユイナの姿が今も脳裏に焼き付いている。 無垢な笑みを浮かべたユイナは、オースティンではない男と話していたという。 「あの人たちは気が気でないでしょうね」 「ああ、そうかもね」 ユイナが他の男性にも囲まれて幸せそうにしていたとすれば、プライドの高いオースティンにとっては、さぞ屈辱的だろう。 こちらの常識を異世界から来たユイナに強要するのも限界がある。 幼い頃からアシュリーという婚約者がいたオースティン。 今まで女性に振り回されたこともなく、機嫌など伺ったこともないはずだ。 「本物の聖女だと祭り上げられているけれど……その期待が大きければ大きいほどに彼女は苦しむことになるね」 「そうね、その通りだわ」 アシュリーはギルバートの頬に指を滑らせた。 「アシュリーは彼女を救いたいの?」 「……。わたくしがそんなことを思うと?」 その言葉に僅かだがアシュリーの指がピクリと動く。 「アシュリーは彼女のせいであんなことになったのに心配をするなんて、とっても良い子だね」 「違うわ……そういうことじゃないの」
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