一章

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クララとロイスはいつも気に掛けて、アシュリーの身を案じてくれた。 それだけがアシュリーの救いだった。 そんな二人を心から信頼していた。 しかしついにアシュリーは今までの我慢の糸が切れてしまうように、ひどく体調を崩してしまう。 数日間、高熱に魘されたアシュリーの元には医師が何人も訪れたが原因はわからないまま。 食欲もなくなり憔悴する両親、クララが必死に看病するが体調は悪化していく。 王家の呼び出しにも応えられないほどに。 アシュリーが城で結界を張りに向かわないことで結界がなくなり、辺境には魔獣が入り込みはじめたらしい。 十年も平和でいたサルバリー王国には魔獣に対抗する術はすっかり鈍っていた。 王家からアシュリーをと言われて焦った父と母はアシュリーを無理矢理にでも王城に連れて行こうとするものの、アシュリーはそのまま意識を失ってしまう。 目が覚めたのは丸一日、経ってからだった。 クララがゆっくりと水を飲ませてくれたが、アシュリーが目覚めたことを聞きつけたことで両親が部屋に怒鳴り込んでくる。
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