329人が本棚に入れています
本棚に追加
視線を逸らすアシュリーの頬をギルバートのゴツゴツとした手のひらが包み込んだ。
「アシュリーの悩みはすべて僕が解決してあげたい。僕にできることがあったらなんでもするよ」
「……ギルバート」
「君は僕の女神なんだ」
ギルバートはアシュリーを見て嬉しそうな笑顔に目を細めた。
彼は時間の経過と共にアシュリーへの愛が増しているような気がした。
それはもはや崇拝に近いのかもしれない。
あまりにもなギルバートの変わりようにペイスリーブ国王や王妃、ロイスも驚いていた。
しかしアシュリーは内心戸惑いを感じていた。
自分にこんな風に愛される価値はあるのかがわからない。
そんな不安を払拭するかのようにギルバートはアシュリーを溺愛していた。
「わたくしは女神なんかじゃないわ。ギルバート、あなたは勘違いをしているのよ」
「こんなにも僕が愛を伝えているのに意地悪だな。まだ足りない?」
「十分、足りているわよ」
「そうかな?」
幸せの絶頂にいるであろうサルバリー王家とエルネット公爵家の未来を絶望に染め上げる。
そのためには心を殺し、利用できるものはすべて利用する。
その覚悟でアシュリーはここにいる。
互いの目的を理解して必要な準備を進めていく。
誰も邪魔させない。
あの憎たらしい顔を思い出すだけでアシュリーは正気ではいられない。
はらわたが煮えくり返るのだ。
最初のコメントを投稿しよう!