二章

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視線を逸らすアシュリーの頬をギルバートのゴツゴツとした手のひらが包み込んだ。 「アシュリーの悩みはすべて僕が解決してあげたい。僕にできることがあったらなんでもするよ」 「……ギルバート」 「君は僕の女神なんだ」 ギルバートはアシュリーを見て嬉しそうな笑顔に目を細めた。 彼は時間の経過と共にアシュリーへの愛が増しているような気がした。 それはもはや崇拝に近いのかもしれない。 あまりにもなギルバートの変わりようにペイスリーブ国王や王妃、ロイスも驚いていた。 しかしアシュリーは内心戸惑いを感じていた。 自分にこんな風に愛される価値はあるのかがわからない。 そんな不安を払拭するかのようにギルバートはアシュリーを溺愛していた。 「わたくしは女神なんかじゃないわ。ギルバート、あなたは勘違いをしているのよ」 「こんなにも僕が愛を伝えているのに意地悪だな。まだ足りない?」 「十分、足りているわよ」 「そうかな?」 幸せの絶頂にいるであろうサルバリー王家とエルネット公爵家の未来を絶望に染め上げる。 そのためには心を殺し、利用できるものはすべて利用する。 その覚悟でアシュリーはここにいる。 互いの目的を理解して必要な準備を進めていく。 誰も邪魔させない。 あの憎たらしい顔を思い出すだけでアシュリーは正気ではいられない。 はらわたが煮えくり返るのだ。
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