二章

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エルネット公爵とアシュリーが完全に関係を絶ったことを知った貴族たちはどう動いているのだろうか。 治療できなくなった今、エルネット公爵家に媚びる必要はなくなってしまった。 治療目当てに群がっていた貴族たちはエルネット公爵を頼らなくなる。 そして治療に対する見返りは完全になくなることだろう。 同様にオースティンのために支払われていた王家からの金も消えた。 なのに二人は欲に溺れた生活を手放すことができずに今も派手な振る舞いを続けている。 今はペイスリーブ王家から受け取った大金があるからか、そのことに気づきもしない。 しかし山のような金もあれだけ浪費していればすぐに尽きるはずだ。 (あの人たちが落ちぶれるのも時間の問題ね……) アシュリーが優雅に紅茶を飲んでいる間にも少しずつ少しずつ追い詰められていく。 毒が回って痺れ始めたことに気づきもしないで、パタリと体が動かなくなり倒れ込んでから悶え苦しむのだ。 それから助けを求めたとしても、すべてが手遅れ。 アシュリーは手の届かない場所にいる。 サルバリー王家も今回の件をきっかけに対策を取るかと思いきや、ユイナの力に頼りきりだそうだ。 (……馬鹿ね) その力も徐々に失われていくのか楽しみである。 ユイナはどこまで耐え続けることができるのか、アシュリーはそれも楽しみで仕方ないのだ。
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