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「なんでやねん!ふざけんな!可愛い息子が屁から取った名前やて?こんなクッサイ名前やったら、友達も寄ってこないわ!」
笑い上戸の父たしりも、爆笑しながらもこだまに加勢した。
「屁はあきまへん、屁はアカンでしかし」
「そ、そうか?キラキラネームやと思ったんやけどな……。ほんなら、武藤いおりでいこか」
こだまが吐き捨てるように、最初からそうしろよと呟いた。
この家族のパワーバランスが、チラリと見えた瞬間だった。
3人は、夕暮れの道を仲良く歩く。
伸びた影は、まさしく『川』を描いている。
「大丈夫や、いおり。人間界に行っても、父さんや母さんがいおりを守るからな!」
たしりとこだまは『人間アカデミー』が設立する前から、ムジロウの密命を受けて人間とその暮らしについて学んでいた。
淀川のガジロウの村からも、一組の河童夫婦が一緒に学んだ。
4人は優秀な成績で(あくまで長老目線だが)クリアし、実際に人間界で一週間程度の宿泊も繰り返した。
「父さん……人間って怖かった?」
カエルが鳴く川辺の道を歩きながら、いおりの小さな肩が少し落ちている。
人間界で暮らしていく不安と、友達になれたいぶきとの別れが、いおりの心を重くしていた。
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