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「カッコ悪いよ、こんな姿」
「ハッハー!なかなかのイケメンだと思うぞ?」
「イケメンって何なん?美味しいの?」
こだまが準備していた服を着て、3匹はこれから暮らす家へと向かう。
早朝にもかかわらず道路には車が走り、店も開いている。犬を散歩させている人間もいた。
犬には激しく吠えられた。
「チッ……犬風情が……」
こだまのひと睨みで、吠えていた犬は怯えて尻込みしだした。
武藤家が住む家は『さわやかタウン』と呼ばれる住宅街にある。
角地だから、他の家より庭が少し広かった。
いおりの為に選んだ家だ。
「あそこの家や!あれが我が家や!」
いおりには、同じような箱が並んでいるとしか見えなかった。家の前は小さなスペースがあって、車が置いてある。
わざとらしく木なども植えられている。
「みんな同じやん」
「ちゃうで!うちの庭にはブランコがある。いおりが喜ぶやろうと、ブランコを作ったんや!」
たしりが指さした家の庭には、青く塗られたブランコがど真ん中に置かれていた。
「ブランコ?あれって何するもん?」
いおりがそう尋ねた時、隣の家の玄関が開いて、折れそうなくらい細い身体の女の人が出てきた。
するとこだまが、物凄いスピードで走り寄り挨拶を始めた。
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