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「でもな、このやり方は古臭い。今はサプリメントの時代や」
ムジロウは、ビンに入った黒いサプリメントを数個取り出すと掌に乗せた。色からは想像できない爽やかな香りが辺りを包む。
「シダの成分をギュッと凝縮したからサクッと人間に化けられ、なおかつ、河童臭を緩和してくれる秘薬や」
いおりはそっぽを向いたまま、貧乏ゆすりを始めている。いぶきとの約束があるからだ。
「いおりよ、気が乗らないのはわかるが……ワシらはもう10年人口が増えておらん。減るばかりでなぁ。何もしなければ絶滅よ」
「なんでオレ達が行くの?」
「まぁ色々基準はあるが……ワシが一番信頼している大好きな家族──だからかな」
いおりだって薄々気がついている。いつの間にかいなくなった仲間達が、人間界に紛れて暮らしていると。
お喋りなオバサン河童達が、まるで見たかのようにマシンガントークをしていた。
「オレ、知ってる。人間界に行ったタロウおじさんは、正体がバレて殺されたんやろ?他にも知ってるで!みんな帰ってこないやんか!」
村の薬屋をしていたタロウ河童は、1年前にいなくなった。
88名総出で探したが見つからなかった。
「タロウなぁ……あのバカタレが……」
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