第二章 

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男性は自分のことをカサダと呼んでくれと言った。 傘のおじさんだからカサダでいいと言った。 カサダは時々店に食べにきては少しアイと会話をした。 時には会社の人と一緒に来ることもあったが、けしてアイを席に呼んだりすることはなくゆったり飲んで食べて帰った。 ある日ひとりで来た日にカサダはアイに話しかけた。 「アイちゃんは将来なにかしたいことはないのかな?」 「あー、まだなにも。 中卒だしまともな仕事につける気もしないんで…」 「アイちゃん、 看護師は興味無い?」 「え?看護師? いや無理ですよわたしには。 冗談やめてください」 「冗談ではないよ。 准看護師免許は中卒で受験資格はあるんだよ。正看護師も准看護師免許があれば中卒でも全然とれるんだ」 アイは目の前の視界が一気に晴れた感覚がした。 「え?あたしが?看護師? うそ…いやむりむり! 勉強嫌いだし絶対無理! でもチャンスがあるなら… あたしでもできるかな… いや、むりむり!」 「知り合いに看護師がいるから今度連れてくるよ」 「いえ!そんな!やめてください、 まだわたし決めてないし…あたしバカだし…」 「君はバカじゃないしやり遂げる努力ができる子だよ。みてたらわかる。 わたしは君になにかしてあげたいんだよ。あの日からずっとね」
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