第三章

3/9
前へ
/36ページ
次へ
待ち合わせは19時。 そしていま18:45分を回ったあたり。 美咲はパルコのトイレでメイクの最終チェックにはいっている。 美咲は膝まであるブーツにピタッとしたTシャツを着てミニスカートを穿いていた。 最近よくテレビでみるアムラーの真似をしているらしい。 美咲の他にもこの地方都市でアムラーを意識した子をみたことがあった。 学校では比較的静かなタイプ(アイと話す時は静かではないのだが)の美咲の私服はいつも随分大胆だなぁとアイは思っていた。 目の周りをぐるっとアイライナーで囲みマスカラを何重にも重ねバサバサなまつ毛、眉毛は細く描いて、口元はぷっくりするように何度もテカテカするグロスを重ねていた。 たまにそのグロスのついた唇に小さい虫が捕獲されて死んでいたりする。 「美咲また虫死んでる」 そう美咲に言うたび、ぎゃーっといいながら慌ててティッシュでグロスをとる美咲が可愛かった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加